2008.04.13 Sunday

いのちのパレード

ホラー、SF、ミステリー、ファンタジー・・・恩田ワールド満載の短編集。「奇想短編シリーズ」と銘打って雑誌に連載されていたものを一冊の本にまとめられている。

摩訶不思議な作品ばかりで、正直、ついていけない観がある。世の中のことを皮肉っているような内容のものもあったり、何を言いたいのか理解できないものもあったりで、私には少しわかりにくい・・・もっと単純に楽しめるストーリーも欲しかった。

恩田氏は本作品の趣にぴったりと言っているが、表紙の写真も暗くて私にはイマイチに思える。ただ、中味共々、人によって感じ方は異なるだろう。こんな世界が大好きな人もいるに違いない。




2008.03.28 Friday

木洩れ日に泳ぐ魚

一組の男女が迎えた最後の夜に、ある男の死の秘密と二人の関係が明らかになる。

この話は、これから別々に暮らしていく男女の最後の一夜だけを描いた物語である。幼い頃に別れた父親の死の真相や双子だと思い込んでいたが、実はそうではなかったことなど、話が進むにつれてお互いに気付いていくことになる。

章が変わる毎に男女それぞれの目線で描かれているので、心の葛藤やお互いの感情がよく伝わってきて分かり易い。たった一夜だけの物語だが、中味の濃い内容。




2007.09.21 Friday

朝日のようにさわやかに

ホラー、ミステリー、SF、ショートショート等々、「図書室の海」以来5年ぶりの短編集。

ラジオのDJの2人が会話だけで物語を進めていくミステリー「あなたと夜と音楽と」は斬新で面白い。短い分、わかりやすくまとまっている。

ホラー短編「卒業」はきちんと説明されていない部分があり、わかりにくいけど、怖さは充分に伝わってくるし、説明の無いところは読者が自由に想像すればいい、ということなのかもしれない。

「水晶の夜、翡翠の朝」は「麦の海に沈む果実」、「黄昏の百合の骨」の水野理瀬シリーズの番外編らしい。理瀬のパートナー、ヨハン君のエピソードになっている。邪悪なヨハン君のラストには少しゾッとさせられる。

他、多数の短編が収められていて、恩田氏の作品を初めて読む人には最適な一冊ではないかと思う。




2007.08.04 Saturday

木曜組曲

女流作家薬物死事件を巡る5人の女たちの息詰まる心理戦。

女流作家の巨匠、重松時子の薬物死から4年。彼女と縁の深い女たちが毎年木曜日のその日にうぐいす館に集まり、時子を偲ぶ宴が催される。やがて明らかになる時子の死の真相・・・。

恩田氏らしいというか、謎のメッセージをきっかけに女たちの告発と告白が始まり、妄想なのか何なのかわからなくなっていく。

ラストはある人物による策略だったとわかるが、彼女の時子に対する気持ちは少し理解しにくい。

何年か前に映画化されたようだが、女たちのこの3日間の心理戦をどのように描いたのか。チャンスがあれば観てみたい。


2007.06.11 Monday

puzzle(パズル)

奇妙な謎に挑む2人の検事の、息詰まる攻防を描いたミステリー。

コンクリートの堤防に囲まれた無機質な廃墟の島で見つかった3人の男性の死体。死因がそれぞれ異なるが、死亡時刻が限りなく近い3人の死は偶然による事故なのか、それとも殺人なのか?

「パズル」が組み合わされていくように事件の真相が解明されていく。2人の検事のうちの1人、関根春(しゅん)は「六番目の小夜子」「図書室の海」に登場する関根兄弟の長兄かもしれない。そんなちょっとした発見も物語を楽しませてくれる要素になっている。


2007.06.07 Thursday

光の帝国 - 常野物語

東北の架空の地域にルーツをもつ、ある特別な能力を持った一族をめぐる連作短編集。

「常野」から来たといわれる人々には皆不思議な能力がある。それは膨大な書物を暗記する力であったり、遠くの出来事を知る力であったり、様々である。

彼らは穏やかで知的で権力志向を持たず、ひっそりと暮らす。不思議な力を持つがゆえの苦労や不幸な出来事など、10の物語にまとめられている。

全体的に優しい雰囲気で書かれてはいるが、どこかゾッとする部分がある。それがまた恩田氏独自の手法であるのかもしれない。


2007.05.27 Sunday

夜のピクニック

夜を徹して80キロを歩き通すという「歩行祭」。この高校生最後の一大イベントの2日間を描いた青春小説。

貴子は3年間わだかまった想いを清算するために歩行祭に参加する。友人達と夜を共にするということは秘密を打ち明けあったり、よもやま話に花が咲いたりと、なかなか楽しいものである。

そんなイベントの最中、一つの賭けを胸に秘めた貴子の心理状態が細かく表現されていて、興味深く面白い。彼女の異母兄弟である融(とおる)の気持ちも丁寧に描かれている。

たった2日間の出来事を、充分に内容のある、濃い小説に仕上げている。



2007.05.14 Monday

図書室の海

ミステリーからホラー、SFと恩田氏の世界を充分に堪能できる短編集。

「六番目の小夜子」の番外編となる表題作「図書室の海」は関根秋の姉、夏のエピソードである。「六番目の小夜子」を読んだことがある人は奇妙なサヨコ伝説の内容も理解していると思うので、面白みも充分味わえると思う。

大長編「夜のピクニック」の予告編として書かれた「ピクニックの準備」はやっぱり本編を読んでみたくなるような内容になっている。

「春よ、こい」や「ノスタルジア」は私には理解不能で頭の中が?でいっぱいになってしまった。

「茶色の小壜」は、じわじわと怖さが後から来るホラーだ。

10編ともそれぞれに特徴があり、10通りの楽しみ方ができる短編集である。


2007.05.03 Thursday

蛇行する川のほとり

ある夏、川のほとりの合宿で少女たちに起こった物語。

恩田氏特有の手法なのか、どこかホラーっぽくて、何か気にかかりながらも、何となくスッキリしないまま読み進めることになる。

演劇部の舞台背景を描くために集まったのは、特に書かれてはいないけど、現代ではない、少し前の時代の少女達だ。神秘的で謎めいていて、どんどん物語に引き込まれていく。

終章で過去の謎は明かされることになるが、全ての真実を胸に秘めたまま死んでいった香澄という少女。この物語で一番神秘性を醸し出す役割を担っているキャラクターである。


2007.04.02 Monday

六番目の小夜子

とある地方の進学校を舞台に「サヨコ」伝説を軸に描いた青春ホラー小説。

超常現象が起こったり、恐ろしい霊が出てくるわけでもないのに、この小説は非常に怖い。特に秋の章の学園祭で上演される「六番目の小夜子」の場面はその怖さが一気に高まっていく感じだ。

「サヨコ」伝説の内容も妙に魅惑的というか、神秘的で、この物語を謎めいた感じに仕上げている。

交錯する複数の謎のうち、全てが明確にされないまま、物語が終わるので消化不良的な読後感は否めない。が、それがこの物語の神秘性を高めているともいえるだろう。


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