2008.04.05 Saturday

仏果を得ず

文楽に賭ける若手大夫の熱い青春を描いた作品。

文楽を題材にし、実際に上演される演目を取り上げて描かれていて非常に珍しく、面白く読めた。

文楽に携わる大夫、三味線、人形使いの芸に対する思いや情熱などが生き生きと表現されているところも興味深かった。

芸の道だけでなく、主人公の若手大夫の恋愛ごとも絡んできて、物語をますます面白くしている。三浦氏の別の一面を見られたような気がした。


2007.08.07 Tuesday

きみはポラリス

初恋、禁忌、純愛、同性愛・・・様々な形の恋愛を描いた短編集。

とんでもなく危い愛から純粋な愛情まで、よくここまで描けるものだと感心する。

私が好きなのは「春太の毎日」。道で行き倒れていたところ、拾われ、飼われることになった犬、春太の目線で話が進行する。春太の飼い主に対する愛情込めた表現には、ほのぼのしたものが感じられる。

短編集のはじめが岡田と寺島の現在を、最後が高校時代の2人の様子を描いている、というのも面白い。岡田の永遠に投函されることのない手紙が誰宛のものなのか。最後の短編を読めばわかる、というのも心憎い趣向ではある。


2007.05.13 Sunday

秘密の花園

カトリック系の女子高校に通う性格の異なる3人の少女。「秘めごと」を抱える彼女達をそれぞれ三人三様の目線で描いている。

この物語に登場する少女たちは3人共皆どこか壊れている。痴漢のペニスをカッターで切ったり、存在しない兄に名前をつけて呼んだり、教師と恋に落ち、揚げ句に失踪したりと、どこか歪んで狂っていると思う。

カトリック系女子高校という設定からか、3人共が今どきの女子高生特有のキャピキャピ感がなく、どこか現実味のないキャラクターで描かれている。

そのせいか、小説の中だけの話で終ってしまいそうな物語である。もっとも、小説とはそういうものかもしれないが・・・。


2007.04.25 Wednesday

まほろ駅前多田便利軒

東京のはずれに位置する“まほろ市”の駅前でひっそり営まれている多田便利軒。痛快でやがて熱く胸に迫る便利屋物語。

ペットの世話、塾の送り迎え代行、納屋の整理など等、そんな仕事を請け負う多田便利軒。ひょんなことから事務所に居候するようになった行天(ぎょうてん)と多田のコンビが様々な依頼を解決していく。

少々やばくて、おかしなキャラの行天と、心に暗いキズを持つ多田。高校の同級生でありながら、学生時代一度も言葉を交わしたことのない二人の奇妙な共同生活が面白い。

依頼人との触れ合いの中で心のキズを癒していく多田。危ない事件や人々の人情に触れながら、二人の関係が変わっていく様子など、面白く描かれている。


2007.02.13 Tuesday

風が強く吹いている

才能に恵まれながら走ることから見放されかけていた清瀬灰二(ハイジ)と蔵原走(カケル)。2人は無謀にも陸上競技とかけ離れていた者とたった10人で箱根駅伝に挑む。

毎年、正月の2日間で行われる箱根駅伝の舞台裏では、実際にこのようなドラマが繰り広げられているのかもしれない、と想像させるに十分な内容。この物語は全くのフィクションだが、箱根駅伝を目指している大学の陸上部内では多かれ少なかれ、彼ら10人と同じような経験をしているのだろう。

駅伝とはただ単に自分に与えられた区間を走りタスキをリレーしていく長距離走くらいの理解でしかなかったが、この小説を読んで駅伝に対する見方が一新した。10人で走りきることから、強い連帯感が生まれるし、コースのアップダウンや標高など、様々な条件によって走り方も変ってくる。奥の深い競技である。

最近まれに見る、自分にとって大ヒットの超大型青春小説だった。


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