2008.01.17 Thursday

小袖日記

平安時代にタイムスリップし、「源氏物語」を執筆中の香子さまの片腕として働くことになった小袖の物語。

普通のタイムスリップと違うのは、現代の姿のまま過去に行くのではなく、平安時代の小袖という実在する女性の頭の中に精神だけ入り込んでしまうところ。ややこしいのだ。

でも、当時の貴族や女性たちの生活の様子が細かく描かれていて笑いを誘う。女性たちはおかめ顔のオンパレードで、身分の高い女ほど気安く動き回れないという不自由さ・・・。

そんな中で、小袖の身体を借りた主人公は女房として働きながら「源氏物語」のネタ集めをしたりして、その時代に馴染んでいく。

いつの世も女性というのは哀しくて強いものだというのが伝わってくる一冊。


2007.12.01 Saturday

ア・ソング・フォー・ユー

無認可保育園の園長兼私立探偵、花咲慎一郎シリーズ。
懐かしい歌謡曲の響きになぞらえて4つの物語が収められている連作ミステリー。

「ブルーライト・ヨコハマ」はいつもの花咲シリーズに似合わず、ヤクザも裏の世界も出てこないライトな仕上がりになっている。さすがに最後の「骨まで愛して」になると、危ない裏社会が見え隠れしてくる。

いつもながら、都会の汚い部分を見せつけられ、重たくなる部分もあるが、花咲探偵の持ち前のキャラで、うまくカバーされていて、楽しく読めるシリーズである。


2007.10.18 Thursday

朝顔はまだ咲かない―小夏と秋の絵日記

ひきこもりの鏡田小夏が遭遇した7つの出来事を描く青春ミステリー。

ひと口にひきこもりといっても、いろいろなタイプがある。自分の部屋に閉じこもってしまうタイプ、外には出られないけど、家の中では普通に生活できるタイプなど、さまざまだ。

小夏は高校時代のいじめをキッカケにひきこもりになったが、外出はできないものの、家の中では家事全般を任され、ごく普通に日常生活を送っている。

そんな彼女を訪ねてくるのは親友の秋で、恋の一部始終や日常のトキメキを報告にやってくる。

そして、小夏がひきこもりを終えるまでの出来事をミステリーを交えて描いている。

ひきこもりの若者の悩みや今時の女の子の恋や将来についての不安など、再認識させられた一冊。


2007.09.16 Sunday

回転木馬

連作短編集「観覧車」の続編で、失跡した夫の面影を追い求める女私立探偵、唯の姿を描いた物語。

「夫捜しの途中で主人公が触れることになった女性たちの心のひだを丹念に描くことに作家としての情熱を注ぎこんだ」と著者が書いている通り、それぞれの女性たちの心情が上手く描き分けられていて、同情や共感を呼ぶ。

「観覧車」では夫の失跡の謎について全く触れられないままになっていたので、その謎が解き明かされていく本作は、主人公・唯と同じ気持ちになって読み進めていくことができる。それがとても面白いところである。

人間というのは自分の意思ではどうにもならない運命というものに流され、翻弄されてしまうこともあるのだと、改めて感じた一冊である。


2007.06.01 Friday

Close to You

マンションという「社会」の中で孤立するエリート共働き夫婦。彼らを次々と襲う厄災・・・オヤジ狩り、放火、誘拐事件。日常に潜む恐怖を描いたミステリー。


世の中には様々な事情を抱え、異なった立場の人間がたくさんいて、いつどこで恨みを買うかもしれない。誰にも迷惑をかけずに自立して立派にやっているように見えても、地域社会の中では無責任であったり、人任せになっていたりと、周りの人から反感を買うこともある。

ある種の八つ当たりや逆恨みといってしまえばそれまでだが、人は一人では生きていけない、地域の人達との関わりなしには、しっかりと地に足着いた生活はできないものなのだ、と感じた。


2007.04.28 Saturday

求愛

親友の死の真相をつきとめたことをきっかけに探偵事務所の調査員となった主人公、弘美をめぐるサスペンス。

自殺願望の女子中学生、浮気疑惑のエリート医師夫人、砂場に生ゴミを生める主婦・・・。ささやかな毎日を懸命に生きる女達と関わって、弘美自身が人生の真実を掴んで行く。

悪徳探偵事務所に脅迫されたがために、犯人は親友を殺害してしまう。その事実を知った弘美は自分の手でその探偵事務所を突き止めるため、探偵事務所に勤める。

なんとも安易な展開であるけれども、探偵として仕事をしていくうちに、関わっていく様々な女たちから自分に今何が欠けているのか、自分が何を欲しているのかについて気付いていく過程が、同じ女性として共感できる。


2007.01.22 Monday

激流

20年前の修学旅行中に消息を絶った少女から同級生たちに突然メールが送られてくる。彼女の送るメッセージの意味とは?

再会した同級生たちに次々と不可解な事件が降りかかる・・・少しホラーじみていて、ついつい物語に引き込まれてしまった。過去の少女の失跡事件と、彼女からのメール、同級生達の周りで起こる事件の数々…それぞれが複雑に絡み合い、謎を呼び、大長編でありながらも、苦もなく読み終わってしまう。

「不運」や「不幸」という言葉だけで片付けられない、やるせない思いが残る一冊だった。

2006.12.11 Monday

窓際の死神

おとぎ話をモチーフに描かれた寓話的ミステリー。

窓際族の会社員「島野」は死神というより、カウンセラー的な存在で描かれている。死神と対峙する物語中の2人の女性は生きることを選択することになる。

特に一話目の女性は島野に声を掛けられなければ、日一日と死へと近づいていたわけだから、彼に命を助けられたといってもいいと思う。

「死」というものはいつでも身近なところにあって、背中合わせに生きているのだが、決して急がず自ら近づいていくものではない、という著者の強い思いが伝わってくる。

2006.12.03 Sunday

観覧車

失跡した夫の事務所を継ぎ、探偵事務所を始めた下澤唯。7年の時が経ち、変化していく唯の心を映し描いた連作集。

著者のプロ作家としての初仕事となる作品が読めるというのは、少し得した気分になれる。

ただ、唯の夫がなぜ失跡したのか、その謎が解けないまま終わるので、ほったらかしにされたままの様な感じが残る。早く続編が出ることを期待している。

2006.12.02 Saturday

ワーキングガール・ウォーズ

37歳未婚、大手企業本社勤務で役職係長の翔子。彼女が有給休暇をとって出かけたオーストラリアで友達になった29歳の独身女愛美(まなみ)。

2人の働く女の本音や弱音をリアルに描いた小説・短編集だが、全体としてエピローグがついて、長編小説のようにまとめられている。

ワーキングガールであるか否かに関わらず、女性には是非一読を勧めたい。必ず元気になれる一冊である。

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